ブラジル人ダンサー、振付家、メディア・アーティスト
アナリビア・コルデイロは、1970年代初頭からブラジルにおける芸術的実験の最前線に立ち、身体の動き、テクノロジー、視覚言語が交差するあり方を刷新し続けてきた。ダンサー、振付師、アーティスト、そして研究者でもある彼女は、自身の実践を途切れることのない探究のプロセスとして捉えている。ダンス、美術、建築、マルチメディア、コンピューター・サイエンス、記号論にまたがる学際的な背景をもとに、彼女はビデオ・アートと身体運動のデジタル分析の双方に決定的な影響を与える作品群を築き上げた。
ブラジル具体芸術の中核的存在であり、いち早くコンピューターを制作に取り入れた先駆者ヴァルデマール・コルデイロ(1925–1973年)の娘として、アナリビア・コルデイロは、芸術とテクノロジーが密接に結びつく環境のなかで育った。1973年、まだ学生だった彼女は、ダンスを記譜するためにコンピューター・グラフィックスを用いた、世界でも数少ないアーティストのひとりであった。転機となる代表作《M3x3》(1972–1973年)は、こうした初期の探究を象徴する作品である。振付、空間設計、コンピューター処理されたデータを融合させた本作は、人間の動きを運動感あふれるビデオ・インスタレーションへと変換した。三台の同期したカメラによってテレビスタジオで撮影され、建築空間に投影された《M3x3》は、身体、イメージ、環境の境界を溶解させる。構成主義からコンセプチュアル・アートに至るモダニズムの諸潮流を大胆に統合したこの作品は、研究者エドワード・シャンケンが指摘するように、より深い政治的響きを帯びていた。すなわち、コルデイロが提示した「ポストコロニアルな女性の身体」は、軍事独裁体制下にあったブラジルにおいて、支配と自由の力学そのものを問い直すものだったのである。
コルデイロはその後も、《0°‹—›45°》(1974–1989年)、《Gestos(しぐさ)》(1975年)、《Cambiantes(変わりゆくもの)》(1976年)、《e》(1979年)といったプロジェクト、ライブ・パフォーマンス、さらには独自の舞踊記譜法「ノタ・アンナ(Nota-Anna)」の開発を通じて、この先駆的な実践を拡張し続けた。彼女の関心は文化人類学にも及び、1970年代にはアマゾンの先住民コミュニティと共に暮らしながら、彼らの儀礼や口承文化を映画や写真によって記録した。これらの経験は、彼女の身体語彙とアーカイブの方法論の双方に深い影響を与えている。
1980年代以降、コルデイロはコンピューター支援によるダンス記録の探究をさらに深化させた。エンジニアのニルトン・ロボとの協働により、身体の24箇所を座標点として設定し、時間の経過に沿ってその軌跡を追跡することで、身体動作の三次元的記録を実現した。この手法は、ほぼ失われつつあったイエメン系の伝統舞踊から実験的な現代作品に至るまで、文化的遺産を保存するうえで、前例のない分析精度と新たな可能性をもたらした。またこの方法は、上演に先立って動きの連なりをデジタル空間で検証し、洗練させることを可能にし、振付創作そのもののあり方を変革した。
コルデイロの草分け的な貢献は、国際的にも高く評価されている。《M3x3》は2015年にARCOマドリードでBEEP電子芸術賞を受賞し、「コード化:コンピューター時代の芸術、1952–1982」(ロサンゼルス郡立美術館、2023年)などの重要な展覧会でも紹介された。彼女の作品は、技術的革新のみならず、主体であると同時にデータでもある人体を詩的に探究する点において、メディア・アート史の試金石であり続けている。動きとコードの融合を通して、コルデイロは、身体性、記憶、そして芸術が自らの生きる技術的未来をいかに形づくり得るのかを、私たちにあらためて問いかけている。
「ふたつの脳で生きる:1960年代〜1990年代、ニューメディア・アートで活躍した女性アーティストたち」プログラム