日本人写真家
東京都生まれ。1960年に桑沢デザイン研究所に入学し、1963年に同研究所リビングデザイン研究科写真専攻を卒業。在学中は写真家の石元泰博(1921−2012年)、大辻清司(1923−2001年)の指導を受けた。在籍する高梨豊(1935年−)、新倉孝雄(1939年−)、児玉房子(1945年−)、さらに牛腸茂雄(1946−1983年)や関口正夫(1946年−)、佐治嘉隆(1946年−2007年)、三浦和人(1946年−)らと親交を深める。
1966年から1978年まで桑沢デザイン研究所および東京造形大学で写真専攻の助手や講師を務め、同大学では、テキスタイルデザイン作品を写真で記録する仕事も引き受けた。1975年よりフリーランスの写真家。1976年に初の個展「微笑みの手錠」(新宿ニコンサロン、東京)を開催。同研究所で助手の仕事を続けながら、新宿や浅草の見世物小屋、銀座で撮影した初期作品シリーズ「街へ」(発表当時は「微笑みの手錠」と題された)を発表した。同シリーズは東京の街に暮らす人々を捉えたストリート・スナップで、潮田の定点観測的な視点を内包し、後年展開される静物を通じて背景に潜む「時代や社会」を示唆する表現へと至る重要な出発点となった。
1978年に長女まほを出産し、写真家の島尾伸三(1948年−)と結婚。同年末から1985年までの約7年間、世田谷区豪徳寺の歴史的洋館(旧尾崎行雄邸)の2階15畳ほどの部屋で夫と娘と暮らした。そこで使用していた中古のスウェーデン製冷蔵庫を生活の記録としてブロニカS2で撮影し始め、1981年からはさまざまな家庭の冷蔵庫の外観と庫内を定点観察的に撮影。1996年に写真集『冷蔵庫/ICE BOX』(BeeBooks)を刊行した。この洋館での生活から約40年後の2022年には、夫と幼かった娘とともに過ごした日々をまとめた未発表作品を収めた写真集『マイハズバンド』(torch press)を刊行。
1995年からは本をオブジェとして捉えた〈本の景色/BIBLIOTHECA〉シリーズに取り組む。1948年から1996年までみすず書房の制作拠点であった本郷三丁目の社屋を解体前の約六ヶ月撮影した『みすず書房旧社屋』(幻戯書房、2016年)、師である亡き大辻清司のアトリエを妻・誠子の協力を得て撮影した『先生のアトリエ』(ウシマオダ、2017年)、さらに大学図書館や国立国会図書館、古書店や作家のアトリエなどで撮影した『本の景色/BIBLIOTHECA』(ウシマオダ、2017年)を三部作として発表した。近著には『ビブリオビブリ』(BON BOOK、2024年)、『改修前 前川國男設計 神奈川県立図書館』(猿田彦珈琲/神奈川県立図書館、2024年)がある。この長年の「本」のプロジェクトは、潮田の作品の根幹を成すという。
2018年には第37回土門拳賞、日本写真協会賞作家賞、第34回写真の町東川賞国内作家賞を受賞。2019年に桑沢特別賞を受賞し、2022年には『マイハズバンド』で Paris Photo–Aperture PhotoBook Awards 審査員特別賞を受賞。
「未来の刻印 : 日本の女性写真作家たち」プログラム